「ボクのおとうさんは、桃太郎というやつに殺されました」

「ボクのおとうさんは、桃太郎というやつに殺されました」(タイトル「めでたし、めでたし?」)「食べていいものと、食べちゃいけないものの、境い目ってどこだろう?」(タイトル「動物図鑑」)。これらは、ある人にとって当たり前に感じることでも、別の人から見ればそうでないことがあると、身近なたとえで表現したキャッチコピーだ。これらの手がけたのはコピーライターの山崎博司さん。伝えたいことを伝えるために何が必要なのか。
山崎さんは2010年に博報堂に入社。現在はアメリカの広告会社と合弁で設立した「TBWA HAKUHODO」に出向中だ。「めでたし、めでたし?」は2013年度「新聞広告クリエーティブコンテスト」の最優秀賞を、「動物図鑑」は同じく、2014年度の優秀賞を受賞。コピーライターやCMプランナーの団体「東京コピーライターズクラブ」の2014年度最高新人賞も獲得するなど、気鋭の若手だ。
早稲田大学大学院で建築学を選考していた山崎さん。博報堂のインターンシップに参加したことで、コピーライターという仕事に興味を持ったそうだ。
入社後、半年の研究を終えて現場に配属された時、師匠のコピーライターから「キャンペーンコピー100本書いてきて」と言われて準備した打ち合わせ会議。A4用紙に書いたコピーを1枚ずつ見せていったものの、まったく反応がなかったそうだ。大量の汗が湧きでてきて、自分の無知さをこれでもかと思い知った瞬間だったそうだ。その後に師匠のコピーが出されると「これ、いいね」と声が上がったそうだ。ここから3年間、毎回100本ずつコピーを書き続けたそうだ。
そんな山崎さんが一気に注目を集めたのが「めでたし、めでたし?」のコピーだ。
ここには日ごろから感じていた思いを込めているという。戦争や紛争、独裁的な国家指導者のニュースを見ていて思うこと。「自分は当事者としてそこに居ないのに、この報道が正しいと判断できるか?一部の情報だけで決めてしまったら、間違うこともあるんじゃないか?」
みんなが知っている桃太郎をもとに、当たり前に使われる「めでたし、めでたし」が、異なる視点で見ればそう言えないのでは、ということを表現したのだそうだ。「広告を見た人が一度立ち止まり、自分の中にさまざまな視点を持つことの大切さを考える機脚気になれば」と山崎さんは話す。
キャッチコピーは人の目に留まり、ふと足を止めたり心に響くとその人の考えまでも変えてしまう力がある。「めでたし、めでたし?」は広告のあり方を考え直させてくれるキャッチコピーだ。